日ごとに読む

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10月16日

ジョナサン・ハーカーの日記 十月十六日 ミナの報告は相変わらずだ。打ち寄せる波とほとばしる水、暗闇と順風。明らかに時間的に余裕があるので、ザリーナ・キャサリン号について耳にする時には、準備万端となっていることだろう。ザリ...
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10月17日

ジョナサン・ハーカーの日記 十月十七日 伯爵が船旅から帰ってくるのを迎える準備は万端だ。ゴダルミングは船での荷主に、送られてきた箱の中に友人から盗まれたものが入っているかもしれないと告げ、自己責任で開けてもよいという半諾...
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10月24日

ジョナサン・ハーカーの日記 十月二十四日 丸一週間待った。ゴダルミングには毎日電報が届くが、同じ《ホウコク ミタツ》ばかりだ。ミナの朝夕の催眠術による答えも一様で、打ち寄せる波、ほとばしる水、きしむ帆とのことだ。 電報 ...
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10月25日

スワード博士の日記 十月二十五日 蓄音機が恋しい! ペンで日記を書くのは面倒だが、ヴァン・ヘルシングは書くべきだと言う。昨日、ゴダルミングがロイズ社から電報を受け取ったとき、僕たちは皆、熱狂した。僕は今、戦場での鬨の声を...
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10月26日

スワード博士の日記 十月二十六日 ザリーナ・キャサリン号は今日も来ない。今頃は到着しているはずなのに。ハーカー夫人の日の出の催眠術による報告から、まだどこかを旅していることは明らかだ。船が時折霧のために停止している可能性...
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10月27日

スワード博士の日記 十月二十七日、正午 とても奇妙なことに、僕たちが待っている船の知らせはまだない。ハーカー夫人は昨夜と今朝、いつものように《打ち寄せる波とほとばしる水》を報告したが、《波は非常にかすかだ》と付け加えてい...
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10月28日

電報 ルーファス・スミス(ロンドン)よりゴダルミング卿、英国副領事付(ヴァルナ)宛 十月二十八日 ザリーナキャサリンゴウ キョウ イチジ ガラツィ トウチャク ホウ アリ スワード博士の日記 十月二十八日 船のガラツィの...
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10月29日

スワード博士の日記 十月二十九日 これはヴァルナからガラツィへの汽車の中で書いたものだ。昨夜、僕たちは皆、日没の少し前に集合した。僕たちは各自の役割をできる限り果たし、思考と努力と機会が許す限りにおいて、旅の全行程とガラ...
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10月30日

スワード博士の日記 十月三十日午前七時 もうガラツィに近いので、後で書く時間がないかもしれない。今朝の日の出は、僕たち全員が心配しながらも待ち望んでいたものだった。ヴァン・ヘルシングは、催眠術をかけるのが難しくなってきて...
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10月31日

ジョナサン・ハーカーの日記 十月三十一日 相変わらず疾走している。夜明けが来て、ゴダルミングは寝ている。僕は番をしている。朝は厳しい寒さだ。僕たちは重い毛皮のコートを着ているが、それでも炉の熱がありがたいほどだ。まだいく...
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11月1日

ジョナサン・ハーカーの日記 十一月一日、夕刻 一日中何の進展もなく、僕たちが求めるようなものは何も見つからなかった。今、ビストリッツァに入った。僕たちの推測が誤っていた場合、機会が失われることになる。僕たちは大小すべての...
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11月2日

ジョナサン・ハーカーの日記 十一月二日、朝 真昼間だ。人の良い彼は僕を起こそうとしなかった。僕が安らかに眠り、悩みを忘れているようだったので、起こすのは罪だと言うのだ。こんなに長く寝て、彼に一晩中見張りをさせていたなんて...
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11月3日

スワード博士の日記 十一月三日 船がビストリッツァに上がって行ったとフンドゥで聞いた。そんなに寒くなければいいのだが。これから雪が降るような空模様だが、降り積もったら足止めを食らいそうだ。そのような場合は、ソリを用意して...
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11月4日

スワード博士の日記 十一月四日 今日、急流を無理やり登ろうとして、船が事故で止まってしまったと聞いた。スロバキアの船たちは、索具の補助と知識による操舵で、支障なく川を上る。つい数時間前にも川を上がって行った。ゴダルミング...
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11月5日

エイブラハム・ヴァン・ヘルシングの覚書  十一月五日、朝 君と私は奇妙なものを一緒に見てきたが、そんな君も本件の記述については、私、ヴァン・ヘルシングが狂っているのだとまず思うかもしれない──多くの恐怖と神経への長い負担...
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11月6日

ミナ・ハーカーの日記 十一月六日 午後遅くに教授と私は、ジョナサンが来ることが分かっていた東側に向かって進んだ。道は急な下り坂だったが、重い毛皮や羽織を持たなければならなかったので、速くは進まなかった。寒気と雪に囲まれ、...
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7年後

覚書 七年前に僕たちは皆、火中を通り過ぎた。それから何人かが得た幸福というのは、耐えた苦悩に値するものだったと、僕たちは考えている。 ミナと僕にとっては、息子の誕生日がクインシー・モリスの命日と重なったという喜びまで加わ...
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時期不明

我が親愛なる友 ホミー=ベッグ に捧ぐ なぜこれらの文書がこの一連に順序立てられているかは、読み進めるにつれ明らかとなる。後世の考えと食い違うような記録についても、純然なる事実として留まるよう、不必要な付記は除いた。記憶...
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訳者あとがき

Translator’s Afterword  ブラム・ストーカー作『Dracula』新訳を日毎に配信する『日刊ドラキュラ』企画を行った(2023年5月~11月)。 なお、現在は章ごと(原文通りの順番)で読むことができる...