10月2日

ミナ・ハーカーの日記

十月二日午後十時

昨夜は眠ったが、夢は見なかった。ジョナサンがベッドに入ってきても目が覚めなかったので、熟睡できたのだろう。しかし、その眠りは心機一転できるものではなかった。今日は、ひどく衰弱し、気力がないように感じる。昨日はずっと、本を読もうとしたり、横になってまどろみながら過ごした。午後、レンフィールドさんが面会を打診してきた。哀れな彼はとても優しく、私が帰るときには私の手にキスをし、神のご加護を祈ってくれた。これに、ある意味とても影響を受けた。彼のことを考えると涙が出る。これは新たな弱みとして、気をつけなければならない。私が泣いていたことを知ったら、ジョナサンは悲しむだろう。ジョナサンたちは夕食の時間まで外出しており、みんな疲れて帰ってきた。私は彼らを元気づけようとできる限りのことをし、その努力がかえって良かったのか、自分がどれほど疲れているかを忘れられた。夕食後、彼らは私をベッドに向かわせ、全員でタバコを吸いに行くと言ったが、その日それぞれに起こったことをお互いに話したがっているのは分かっていた。ジョナサンの態度から、彼が何か重要なことを伝えたがっていると分かったのだ。私はそれほど眠くなかった。なので、彼らが去る前に、スワード博士に、前の晩よく眠れなかったのでアヘン剤を少しくれるように頼んだ。彼はとても親切に睡眠薬を作ってくれ、《とても軽い薬だから害はないだろう》と言って渡した。それを飲んで、眠りを待っているのだけれど、眠りはまだ遠い。何か間違ったことをしたのか、眠りが私になびき始めると、新たな恐怖が襲ってくるのだ。目覚めているための力を自ら奪ってしまったのは愚かなことだったのかもしれない、もしかしたら起きていた方がいいかもしれないのに、という恐怖だ。さあ、眠りがやってくる。おやすみなさい。

ジョナサン・ハーカーの日記

十月二日、夕刻

長く、試練に満ちた、刺激的な一日。朝一番の郵便で、僕宛の封筒を受け取った。封されていた汚い紙切れには、大工の鉛筆で、伸びやかな字でこう書かれていた。

《さむ・ぶろくさむ、こーくらんす、4、ぽたーずこーと、ばーてるどおり、うぉるわーす。かーりしあにといあわせのこと》

ベッドで手紙を受け取り、ミナを起こさずに起き上がった。ミナは体が重く、眠そうで、顔色も悪く、体調が良いとは到底思えなかった。彼女を起こさず、この新たな探索から戻ったら、彼女がエクセターへ帰れるように手配しようと決めた。我が家にいて日々の仕事に追われている方が、僕たちと一緒にいて何も知らされずにいるより、幸せなことだろう。スワード博士に少しだけ会って行き先を告げ、何か分かったらすぐに戻ってきて他の人に話すと約束した。ウォルワースまで馬車で行き、少し苦労してポッターズコートを見つけた。スモレット氏の綴りに惑わされて、ポッターズコートではなくポターズコートの場所を尋ねてしまったのだ。しかし、一度コートを見つけると、コーコランの下宿を見つけるのに苦労はしなかった。玄関に来た男性に《カーリシア氏》を尋ねると、彼は首を横に振って言った。

「知らないね。そんな奴はここにゃあおりません。生まれてこのかた聞いたこともありゃしません。ここにもどこにも、そんな人はいねえはずだね」

僕はスモレットの手紙を取り出し、それを読みながら、ポッターズコートの綴り間違いから得た学びが導線になるかもしれないと思った。

「あなたは何者ですか」僕は尋ねた。

「管理者だ」と彼は答えた。

僕はすぐに、自分が正しい道を歩んでいることを悟った。発音通りの綴りが、またしても僕を惑わせたのだ。半クラウンのチップで管理者の知識を自由に使えるようになった。前夜コーコランの店でビールの残りを飲み干したブロクサム氏が、その日の朝五時にポプラでの仕事に出発したことが分かった。彼はその仕事場がどこにあるかはわからなかったが、《新しいタイプの倉庫》のようなものだという漠然とした見当をつけていた。そのような頼りない情報を元に僕はポプラに向かうことになった。その建物について満足できるような手がかりを得たのは十二時を回ってからだった。手がかりは、何人かの労働者が夕食を取っていたコーヒー店で得たものだった。その中の一人が、クロスエンジェル通りに新しい《冷蔵倉庫》が建設中だと示唆し、これが《新しいタイプの倉庫》の条件にぴったりだったので、すぐにそこへ馬車を走らせた。不機嫌な門番と険悪な雰囲気の現場監督の二人と面会し、両者を王国の貨幣でなだめすかし、ブロクサムの行方を掴んだ。私的な問題について彼にいくつか質問する特権を得られたら彼の日当を現場監督に払ってもよいと提案すると、ブロクサムを寄越してきたのだ。ブロクサムは口調も態度も荒いが、なかなか賢い男だった。僕が情報に対してお金を払うと約束し、手付金を渡すと、カーファックスとピカデリーの家の間を二度往復し、カーファックスの家から後者の家に九つの大きな箱──「すげえ重いの」──を、この目的のために雇った馬と荷車で運んだことを教えてくれた。ピカデリーにあった家の番地を教えてほしいと頼むと、彼はこう答えた。

「ええと、旦那、番地は忘れたけど、大きな白い教会か何かのすぐそばだったね。建って間もない奴。埃っぽい古い家だが、俺たちが箱を運び出してきた家の埃っぽさには及ばねえな」

「どちらも空き家なのに、どうやって入ったんですか」

「パフリートの家で待っていた年寄りがいたんだ。箱を持ち上げて車に積むのを手伝ってくれた。驚いたことに、今まで会った中で一番強い男だな。白い口髭を生やした年寄りで、影もできねえんじゃないかってほど痩せててよ」

この言葉に、どれほど興奮したか!

「どうやってか奴の側の箱の端をお茶の束みてえに軽々持っちまってさ、俺は自分のを片す前に息も切れ切れだってのに──俺だって弱っちくねえのに」

「ピカデリーの家にどうやって入ったんですか」僕は尋ねた。

「奴はそこにもいたんすよ。俺より先に出発してそこに着いたに違いねえな。呼び鈴を鳴らしたら、奴さんが扉を開けて、廊下に箱を運ぶのを手伝ってくれてさ」

「九箱全てをですか」僕は尋ねた。

「ああ。最初の荷物が五つ、二番目の荷物が四つ。実に疲れる作業で、どうやって家に帰ったのかよく覚えてないね」

僕は彼の言葉を遮った。

「箱は広間に置いたんですか」

「そうとも。大きな広間で、他には何もなかったね」

僕はもう一度、状況を確認した。

「鍵は持っていなかったんですか」

「鍵も何も使っていねえな。あの老紳士が扉を開けて、俺が走り去るとまた扉を閉めたんでね。二回目は覚えてねえけど──ビールのせいだろうな」

「家の番号も覚えていないのでしょうか」

「そう。でも、何の問題もねえよ。高台にあって、正面はへさきのついた石造りで、正面扉まで高い階段があるやつさ。銅貨を稼ぎに来た三人の奴らと一緒に箱を運んだから、階段は覚えてる。老紳士は奴らに報酬を与えて、奴らは報酬があまりに多かったんで、もっと欲しがった。でも老紳士はそのうちの一人の肩を掴んで、階段の下に投げ捨てようとしてね。で、奴らは罵りながら立ち去ったってわけ」

この説明で家を見つけられると思い、この友人に情報料を支払ってピカデリーへ出発した。僕は新たな苦い知識を得た。伯爵が自分で土の箱を扱えることが明らかとなったのだ。もしそうなら、時は貴重だ。伯爵は、ある程度の分配ができたのだから、好きな時間に、人知れず作業を完了できる。ピカデリーサーカスで馬車を降り、西に向かって歩いた。ジュニア・コンスティテューショナルを越えたところで、僕は説明された家に出くわし、これがドラキュラの手配した次の隠れ家であると確信した。その家は、長い間、人が住んでいないようだった。窓は埃にまみれており、雨戸は閉まっていた。窓枠はすべて経年で黒くなり、鉄からはほとんど塗装が剥げ落ちていた。つい最近までバルコニーの前に大きな看板があったことがわかった。その看板は乱暴に引き剥がされたらしく、支えていた支柱がまだ残っていた。バルコニーの手すりの裏側には、端が白く見えた状態で、板が何枚か残っているのが見えた。もし、この看板がそのままの形で残っていたら、この家の所有者を知る手がかりになったかもしれない。僕は、カーファックスを調査して物件を購入したときのことを思い出し、前の所有者を見つけることができれば、この家に入るための何らかの方法が発見できるかもしれないと感じずにはいられなかった。

ピカデリー側からは今のところ何も分からず、どうすることもできないので、僕は家の裏側に回って、こちらから何か情報を集められないかと考えた。ピカデリー側の家並はほとんど入居しており、路地は活発だった。その辺で見かけた馬丁や小間使いに、空家について何か知っていることはないかと尋ねた。そのうちの一人が、最近この家が買われたと聞いたが、売り手は分からないと言った。しかし、最近まで《売り物件》の掲示板があったこと、そして、おそらくミッチェル・サンズ&キャンディという住宅代理店の名前をその掲示板に見た覚えがあるので、何か教えてくれるかもしれないと言っていた。あまり熱心だと思われるのも、情報提供者にあまり多くを知られて推測されるのも嫌だったので、普通にお礼を言いながら、ゆっくりと歩き去った。夕暮れ時になり、秋の夜が迫ってきたので、時間を無駄にしないようにした。バークレーにある名簿でミッチェル・サンズ&キャンディの住所を知り、すぐにサックヴィル通りにある彼らの事務所に向かった。

僕が会った紳士は、とても上品な物腰だったが、それと同じくらい口が固かった。彼は、ピカデリーの家──それを彼は《邸宅》と呼んでいたが──が売れたと伝えた後、用件は終わったと思ったらしい。誰が買ったのかと尋ねると、彼は少し目を見開いて、数秒の間をおいてこう答えた。

「売約済みですよ、お客さま」

「御免ください」と僕は同じくらい丁寧に言った。「特別な用件があり、ぜひご購入者がどなたか知りたいのです」

彼はさらに間を置き、さらに眉を上げた。

「売約済みです、お客さま」と、またもやそっけない返事だ。

「そうでしょうとも」と僕は答えた。「あまりお気に留めず、お教えくださいませんか」

「気にしますよ」と彼は答えた。「ミッチェル・サンズ&キャンディでは、顧客の情報は絶対に安全なのですから」

明らかに第一級の堅物なので、議論しても仕方がない。そこで、彼と同じ土俵で話をするのが一番だと思い、こう言った。

「あなたの顧客は、毅然とした態度の秘密の守護者がいて、幸せですね。専門家ですからわかります」ここで僕は名刺を渡した。「本件、好奇心で動いているのではありません。最近売りに出されたと把握している物件について、何かしら知りたいとお考えのゴダルミング卿のために行動しているのです」

この言葉は状況に変化を及ぼした。

「ハーカー様、可能であればあなたにご協力したいところです。特にゴダルミング卿にはご協力したいと考えます。以前、あの方がアーサー・ホルムウッド閣下であったとき、我が社は閣下のために部屋をお借りするといった些末なことを手配いたしました。もしゴダルミング卿のご住所をお教えいただければ、この件に関して会議に諮り、その結果の如何にかかわらず今夜の郵便で閣下にご連絡を差し上げるつもりです。我が社の規定を逸脱してでも、閣下に必要な情報をお伝えできれば幸いです」

敵ではなく友人を作りたかったので、礼を言い、スワード博士の家の住所を伝えて立ち去った。もう辺りは暗く、僕は疲れて空腹だった。エアレイテッド・ブレッド・カンパニーでお茶を飲んで、次の列車でパフリートに戻った。

他の人たちはみんな家にいた。ミナも疲れて青白い顔をしていたが、明るく振舞おうとしているのがいじらしかった。僕の隠し事でミナが動揺したと思うと、胸が痛む。ミナが僕たちの会議を窺って、秘密にされているのを不安がるのも、今夜が最後となるだろうから、本当によかった。過酷な仕事に彼女を巻き込まないという賢明な決断を遵守するには、僕の全勇気が必要だった。彼女はどうやら前より納得したようだ。あるいはこの話題そのものが嫌になってしまったのかもしれず、何か偶発的に話が持ち上がると身震いしている。彼女がこのように感じる状況では、知識が増えることは拷問に等しいことだろうから、決断が間に合ってよかった。

その日の発見を伝えるのは、僕たちだけになるまでできなかった。だから夕食後──体裁を保つために少し音楽を聴いてから──僕はミナを部屋に連れて行き、彼女をベッドに寝かせおいた。ミナはこれまで以上に僕に愛情を注ぎ、僕を引き留めるかのようにしがみついた。しかし話すべきことがたくさんあったため、僕はその場を離れた。ありがたいことに、言葉を交わさなくなったからといって、僕たちの仲には何の変化もない。

再び階下に赴くと、他の人たちは書斎の暖炉を囲んでいた。列車でこれまでの日記を書いてきていたため、それを読み聞かせるのが自分の情報を知ってもらう一番いい方法だと思った。読み終えるとヴァン・ヘルシングが言った。

「今日はよく頑張ったな、ジョナサン君。間違いなく、我々は行方不明の箱の行方を追跡できている。もし、その家で全部見つかれば、我々の仕事は終わりに近い。もしいくつか欠けているものがあれば、それを見つけるまで探さなければならない。そのあとで、最後の一手を加え、あの悪党を真の死まで追い詰めるのだ」

僕たちはしばらく黙っていたが、おもむろにモリス氏が言った。

「なあ! その家にどうやって入るんだい」

「もう一つの家には入ったじゃないか」とゴダルミング卿はすぐに答えた。

「でも、アート、これは違うぜ。カーファックスの家には侵入したが、夜だったし塀に囲まれていたし敷地もあった。ピカデリーで忍び込むのは、昼でも夜でも、まったく違うことだろうさ。正直言って、その代理店の奴が何らかの鍵を用意してくれないと、どうやって入っていけばいいのかわからないね。明日の朝、手紙を受け取ればわかるかもしれねえけど」

ゴダルミング卿は眉をひそめ、立ち上がって部屋の中を歩き回った。やがて立ち止まった彼は、僕たちの各人に向き直りながら言った。

「クインシーに一理あります。この不法侵入は本格的なものとなるでしょう。一度はうまくいったものの、今回は困難な条件がある──伯爵の鍵箱が見つからない限りは、ですが」

朝までに何もできることがなく、少なくともゴダルミング卿がミッチェル・サンズ&キャンディから連絡を受けるまで待つのが望ましいので、朝食の時間までは積極的な活動をしないこととした。それから結構な時間、僕たちは座ってタバコを吸いながら、この問題について様々な角度から議論した。僕はこの機会を利用して、この日記を今この瞬間まで書き進めた。とても眠いので寝ることとする。

一行だけ追記。ミナはぐっすり眠っていて、呼吸は規則正しい。寝ていても考え事をしているのか、おでこに小さなシワが寄っている。まだ顔色は悪いが、今朝ほどやつれた感じはない。明日はきっと元に戻るだろう。エクセターの家では本来の彼女に戻るはずだ。ああ、眠い!

スワード博士の日記

十月二日

昨夜は廊下に人を配置し、レンフィールドの部屋から聞こえるかもしれない音を正確に記録するように言い、何かおかしなことがあれば連絡するように指示を与えた。夕食後、皆で書斎の火を囲んで──ハーカー夫人は寝た後だったのだが──その日の試みや発見を話し合った。ハーカーが唯一成果を出した人であり、僕たちは彼の手がかりが重要なものであることを大いに期待している。

寝る前に病室を回り、覗き窓から中を覗いてみた。彼はぐっすり眠っていて、規則正しい呼吸で心臓が上下していた。

今朝、当直の男が、夜半過ぎに彼が落ち着かず、大きめの声でお祈りを続けていたと報告してきた。僕はそれだけかと尋ね、彼はそれしか聞こえなかったと答えた。その態度に何か不審な点があったので、僕は率直に寝ていたのか尋ねた。彼は、眠ったことを否定したが、しばらく《うつらうつら》していたことは認めた。見張られていない人間というのは、信用できないのが辛いところだ。

今日、ハーカーは手がかりを追って外出し、アートとクインシーは馬の世話をしている。ゴダルミングは、我々が求める情報を得たときに時間を無駄にしないよう、常に馬を備えておいたほうがいいと考えているようだ。日の出と日没の間に輸入品の土をすべて浄化しなければならない。そうすれば、伯爵が最も弱っていて、逃げ場がないときに捕らえられる。ヴァン・ヘルシングは大英博物館へ行き、古代医学の筋を調べている。古代の医師は、後世の医師が受け入れないようなことを考慮に入れていた。教授は魔女や悪魔の治療法を探していたので、後で役立つかもしれない。

時々、僕たちは皆狂っていて、正気に戻って目覚めた時には拘束衣を着ているのではと考える。

その後。

僕たちは再び集合した。ようやく軌道に乗ったようで、明日の仕事が終わりの始まりになるかもしれない。レンフィールドが静かなのは、これと何か関係があるのだろうか。彼の気分は伯爵の動向に左右されるので、きたるべき怪物の滅亡は、何か微細な形で彼に伝わっているのかもしれない。僕が今日彼と議論してから、彼がハエ取りを再開するまでの間に、彼の心の中で何が起こったのか、何かヒントが得られれば、それは貴重な手がかりになるかもしれない。彼は今、しばし静かにしているようだ。今のは彼だろうか。あの荒々しい叫び声は、彼の部屋から聞こえたような気がするが。

世話人が僕の部屋に飛び込んできて、レンフィールドがどうにかして事故に遭ったことを教えてくれた。世話人が叫び声を聞き、部屋に行くと、彼が血まみれで床にうつぶせに横たわっているのを見つけたそうだ。すぐにでも行かなければならない。

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