第十八章

スワード博士の日記

九月三十日

五時に家に帰ると、ゴダルミングとモリスが到着していたばかりか、ハーカーと彼の素晴らしい妻が作成し整理した様々な日記や手紙の記録をすでに読み終えていた。ハーカーは、ヘネシー博士が僕に手紙で知らせてくれた運送業者への訪問からまだ戻っていなかった。ハーカー夫人がお茶を出してくれた。正直言って、この家に住んで初めて、この古い家が我が家のように思えた。飲み終わると、ハーカー夫人が言った。

「スワード博士、お願いしてもよろしいでしょうか。あなたの患者であるレンフィールドさんに会いたいんです。会わせてください。あなたの日記に彼について書かれていて、とても興味を惹かれたんです!」

彼女がとても熱心かつ魅力的だったので断ることができず、また断る理由もなかったので、彼女を連れて行った。僕は部屋に入ってから、件の男に、ある女性が会いたがっていると告げた。

「なぜです」と彼は簡潔に答えた。

「彼女は家中を見回っていて、全員と会いたいと言ってるんです」と僕は答えた。

「ああ、そうですか」と彼は言った。「ぜひとも来てもらってください。ただ、私が片付けるまで少し待ってくれますか」

その片付け方は独特で、止める間もなく箱の中のハエやクモをすべて飲み込んでしまった。干渉されることに対して、心配もしくは用心をしていることは明らかだった。不快な作業を終えると、彼は元気よく言った。

「ご婦人を通してください」

そして、ベッドの縁に腰を下ろしてうつむき、しかしまぶたを上げて、彼女が入ってくるのが見えるようにした。しばし、彼が殺意を抱いているのではないかと思った。書斎で僕を襲う直前の彼がどれほど落ち着いていたかを思い出し、彼が彼女に飛びかかろうとした場合すぐに捕まえられる場所に立つよう用心した。彼女は、どんな狂人でもすぐに尊敬の念を抱くような、くつろいだ優雅さを持ってして部屋に入ってきた──くつろいだ態度は、狂人が最も尊敬する資質の一つだからだ。彼女はにこやかに微笑みながら彼のところへ歩み寄り、手を差し出した。

「こんばんは、レンフィールドさん」と彼女は言った。「あなたのことは存じております。スワード博士からお聞きしましたから」

彼はすぐには答えず、顔をしかめたまま彼女のすべてをまじまじと見た。その表情が不思議そうな表情に変わり、やがて疑うような表情に変わっていった。そして、僕が激しく驚いたことに、彼はこう言った。

「博士が結婚したがってた娘さんはあなたじゃないでしょうね。彼女は死んだんだから、そんなはずはないでしょうね」

ハーカー夫人は優しく微笑みながら答えた。

「あら、違います! 私には夫がおりますし、スワード博士とお会いする前に結婚しておりました。ハーカー夫人と申します」

「では、ここで何をしているんですか」

「夫と私は、スワード博士を訪ねて滞在していますの」

「滞在すべきじゃない」

「どうしてかしら」

このような会話は、僕以上にハーカー夫人にとって不快かもしれないと思い、僕も話に加わった。

「どうして僕が結婚したいと思っていたのを知ってるんですか」

ハーカー夫人から僕へと視線を移し、すぐにハーカー夫人に目線を戻す間に口にされた彼の返事は、ただただ侮蔑的なものだった。

「なんて馬鹿げた質問なんだ!」

「レンフィールドさん、私には、そうは思えませんけれど」

ハーカー夫人はすぐに僕を擁護した。僕に対して示した軽蔑と同程度の礼儀と尊敬をもって、彼は彼女に答えた。

「ハーカー夫人、もちろんご理解いただけるでしょうが、この家の主人のように愛され尊敬を集めている人物がいると、彼に関することはすべてこの小さな共同体の関心事となるのです。スワード博士は家族や友人に愛されているだけではありません。精神的な均衡がとれておらず、原因と結果を歪曲する傾向がある患者たちにも愛されています。私自身も精神病院に入院していますが、入院患者の中には、因果関係における原因誤謬【訳注:non cause。哲学用語】や論点のすり替え【訳注:ignoratio elenchi。哲学用語】などの論理的誤謬に傾倒している者がいることに、気づかざるを得ません」

僕はこの新しい展開に目を見張った。お気に入りの狂人──それも僕がこれまで会った中で最も特徴的な症例──が、洗練された紳士のような態度で哲学の基礎を語っているのだ。ハーカー夫人の存在が、彼の記憶の琴線に触れたのだろうか。この新しい局面が自発的なものであれ、あるいは何らかの形での彼女の潜在的な影響によるものであれ、彼女は何かたぐいまれなる才能や力を持っているに違いない。

僕たちはしばらく話を続けた。彼が極めて理性的であるようだったので、彼女は僕を窺いながらも、彼の好きな話題に誘導しようと試みた。僕は再び驚かされた。彼は、まったく正気であるかのような公平な態度でその議題に取り組み、ある事柄について言及するときには、自分自身を例にとってさえいたのだ。

「私自身、奇妙な信念を持った人間の一例です。友人たちが心配し、私を管理下に置くよう主張したのも無理はありません。かつて私は、生命は絶対であり、永久する存在であり、どんなに下位の生命であっても、多くを摂取すれば、自らの生命を無限に延長できると考えていたのです。時には、その信念の強さ故、実際に人命を奪おうとしたこともありました。ここにいる医師が証言してくれますが、ある時、私はこちらの医師を殺そうとしました。彼の血を媒介にして、彼の命を私の体に同化させることによって、私の生命力を強化するためです──もちろん、聖書の《血は生命である》という言葉に基づいた行いです。とはいえ、とある薬品業者が、この真理の言葉を軽蔑に値するほど低俗化してしまいましたが。そうでしょう、先生?」

僕は頷いたが、あまりの驚きに、どう考えたらいいのか、どう言ったらいいのか、ほとんど分からなかった。五分前に蜘蛛やハエを食べ尽くすのを見たばかりの彼とは、とても思えなかったからだ。時計を見ると、ヴァン・ヘルシングに会うために駅に行かなければならないことがわかったので、ハーカー夫人にそろそろ去るべき時間だと告げた。彼女はレンフィールド氏に朗らかにこう声をかけたのち、すぐに場を離れた。

「さようなら、またお会いしましょう、あなたのお加減がもっと良いときに」

すると、驚いたことに、彼はこう答えた。

「さようなら、お嬢さん。あなたの素敵な顔を二度と見ることがないよう、神に祈ります。神のご加護がありますように!」

ヴァン・ヘルシングに会いに駅へ行く時、男連中は家に置いていった。哀れなアートはルーシーが病気を患って以来、一番元気そうだ。クインシーも長い間見なかった、明るい本来の姿を取り戻しつつある。

ヴァン・ヘルシングは、少年のようにすばやく客車から降りた。彼はすぐに僕を見つけ、駆け寄ってきてこう言った。

「ジョン君、色々と大丈夫かね。よさそうかな。よし! 必要とあらばこちらに滞在する予定を立てて、忙しくしていたのだ。私の仕事はすべて決着がついたし、話すこともたくさんある。ミナ奥様はご一緒かな。そうか。彼女の立派なご主人もご一緒かな。そしてアーサーとクインシー君もかね。よろしい!」

僕は馬車で家に向かいながら、これまでの経緯と、ハーカー夫人の提案で自分の日記が役に立つようになったことを話した。すると、教授は僕の言葉を遮った。

「あの素晴らしいミナ奥様だな! 彼女は男の頭脳──才能のある男が持つべき頭脳のことだ──と、女の心を持っている。この素晴らしい組み合わせは、善良なる神が目的を持って彼女を造ったからだろう。ジョン君、今まで幸運によりあの女性が我々の助けになっていたが、今晩以降はこのような恐ろしい事件に巻き込んではならない。彼女が大きな危険を冒すのはよくないことだ。我々男性陣は、この怪物を滅ぼすことを決意したが──いや、誓ったのだったね──この行為は女性の役目ではない。たとえ彼女に危害が及ばなくとも、あまりの恐怖に心を病むかもしれない。これから先、起きている間は神経を苦しませ、眠っている間は悪夢に苦しむかもしれない。それに、彼女は若い女性で、結婚してまだそれほど経っていない。今はそうでなくとも、いつかは他に考えることも出てくるだろう。彼女が全部の書類を書いたと言うなら、彼女は我々の協議に参加しなければね。しかし、明日、彼女にはこの任務に別れを告げてもらい、我々だけで立ち向かうべきだ」

僕は、彼の意見に心から同意した。そして、彼の留守中に発見したこと、つまりドラキュラが購入した家が僕の家のまさに隣家なのだと話した。彼は驚き、そして大きな懸念を覚えたようだった。

「ああ、もっと前から知っていれば!」と彼は言った。「そうすれば、哀れなルーシーを救うため、彼を捕まえるのに間に合ったかもしれない。しかし、君たち英国人が《こぼれたミルクを惜しんで嘆くな》と言うように、そんなことは考えずに最後までやり遂げることとしよう」

それから彼は沈黙し、その沈黙は僕たちが僕の家の門から入るまで続いた。僕たちが夕食の支度をする前に、彼はハーカー夫人に言った。

「ミナ奥様、こちらのジョン君から聞いたんだが、あなたとご主人は、この瞬間までのすべての出来事を、正確に順番に並べてくれたそうだね」

「この瞬間まで、ではありません、教授」と彼女は反射的に言った。「今朝までです」

「なぜ今この瞬間までではないのだろうね。我々はこれまで、すべての些事がどれほど良い結果をもたらすかを見てきた。我々は秘密を打ち明けたが、打ち明けたことにより悪い状況に陥った人はいないだろう」

ハーカー夫人は顔を赤らめつつ、ポケットから紙を取り出し、こう言った。

「ヴァン・ヘルシング博士、これをお読みになって、書類の山に加える必要があるかお教えください。私の今日の記録です。私も、どんな些事でも、すぐに書き留めておく必要性を感じています。でも、この中には個人的なこと以外はほとんど記載されておりません。加えるべきでしょうか」

教授はそれを注意深く読み通し、こう言って返した。

「あなたが望まないなら加える必要はない。しかし、加えてくれるよう祈るよ。この記録により、あなたの夫は更にあなたを愛し、あなたの友人である我々は、より一層あなたを尊敬し、愛するようになるだろうからね」

彼女はまた顔を赤らめて、晴れやかな笑顔でそれを受け取った。

そして今、まさにこの時間まで、僕たちが持っているすべての記録が揃い、順番に並んでいるのだ。教授は夕食後、九時に予定されている会議の前に熟読するため、一部写しを持って行った。他の者はすでに通読しているので、書斎で会うときには全員が事実関係を把握しており、この恐ろしく不可思議な敵との戦いの計画を立てられるだろう。

ミナ・ハーカーの日記

九月三十日

夕食の二時間後、六時にスワード博士の書斎に集まったとき、私たちは無意識のうちに一種の審議会か委員会のようなものを結成していた。ヴァン・ヘルシング教授は部屋に入ってくるなりスワード博士に促され、テーブルの端に座った。私は教授の右隣に座り、書記をするよう申し付けられた。ジョナサンは私の隣に座った。私たちの反対側には、ゴダルミング卿、スワード博士、モリス氏が座った──ゴダルミング卿は教授の隣、スワード博士が中央にいた。

教授がこう言った。

「我々はこの書類に書かれている事実をすべて把握していると考えてよいだろう」

私たちは皆、同意の意を表した。彼は続けた。

「それなら、我々が相手にしなければならない敵の性質を話しておくのがよいだろう。そして、私が確認した奴の経歴を、君たちにお知らせしよう。そうすれば我々は、どのように行動すべきかを議論し、それに応じた対策を講じられる。

「ヴァンパイアという物が存在し、我々の中にはヴァンパイアが存在する証拠を持っている者もいる。我々自身の不幸な経験という証拠がなくとも、過去の教えや記録が、正気の人々にとっても充分な証拠となる。私も最初、懐疑的であったことを認めよう。長い間、常識にとらわれない訓練をしてこなかったら、事実が《ほら! ほら! 証明できるぞ、証明できるぞ》と耳に飛び込んでくるまで、信じることができなかっただろう。悲しいかな、もし私が今知っていることを最初に知っていたら──いや、彼について推測さえしていたら──彼女を愛していた我々の多くにとって、とても貴重な命が、一つ救われていたことだろう。しかし、それは既に終わったことだ。我々は、我々が救うことのできる他の哀れな魂が滅びないように、努力しなければ。ノスフェラトゥは、蜂と違って一度刺しただけでは死なない。より強くなるだけであり、より強くなることで、さらに多くの悪事を成せるようになる。我々に紛れているこのヴァンパイアは、二十人の男に匹敵するほど強い。彼は人間以上に狡猾であり、その狡猾さは歳月をかけて培われたものだ。彼はネクロマンシーという手段を持っている。ネクロマンシーとは、語源が示すように、死者による予言であり、彼が近づく全ての死者は彼の思いのままになる。野蛮でありながら、野獣以上の存在だ。悪魔のように無慈悲であり、心が無い。制限内でなら、いつ、どこで、どんな形でも意のままに出現できる。能力の範囲内でなら、嵐、霧、雷などの自然現象を操れる。ネズミ、フクロウ、コウモリ、蛾、キツネ、オオカミなどの卑しいものに命令できる。彼は大きくなったり小さくなったりする。そして時に姿を消し、知らぬ間に現れることがある。では、どのようにして彼を倒すための戦いを始めればよいのだろうか。どうやって居場所を見つけ、そして居場所を見つけた後、どうやって倒すのだろう。友よ、これは大変な任務だ。我々が取り組むのは恐るべき任務であり、勇敢な者を震え上がらせるような結果が待っているかもしれない。もしこの戦いに失敗したら、彼は必ず勝つだろう。そうしたら我々はどうなるのだろう。命などどうでもいい。命のことなど知ったことではない。ここで失敗すると、単なる生死では終わらないのだ。失敗は、我々が彼のようになることを意味する。我々が今後、彼のように夜に棲む穢らわしいものとなること──心も良心もなく、最も愛する者の身体と魂を捕食するものとなることだ。我々に対して天国の門が永遠に閉ざされるのだ。誰が再び門を開いてくれるというのか。我々は永遠にすべての人から忌み嫌われ、神の輝きの汚点となり、人間のために死んだ神【訳注:キリストのこと】の脇腹に放たれた矢となる。しかし、我々には責務がある。責務があるのにひるむべきだろうか。私にとってはそうではない。しかし、私は年寄りであり、太陽、美しい土地、鳥の歌、音楽、愛などが含まれた人生は、はるか過去のものだ。君たちは若い。ある者は悲嘆に暮れたことがあるが、この先にまだ幸福な日々が待っている。どうするかね」

彼がそう言っている間に、ジョナサンが私の手を取った。その手が伸びてきたとき、脅威の特性がジョナサンの精神に打ち勝ってしまったのではと心配した。しかし、彼の手の感触を感じることは、私にとって重要なことだった──とても強く、とても頼もしく、とても毅然とした手だった。勇敢な男の手は自ら語ることができ、その調べを聞くために女の愛を必要とすることさえないのだ。

教授が話し終えたとき、夫は私の目を、私は夫の目を見た。私たちの間に会話は必要なかった。

「ミナと僕は応じます」と彼は言った。

「教授、俺も頭数に入れてくれ」とクインシー・モリスさんはいつものように簡潔に言った。

「私も君たちと一緒だ」とゴダルミング卿は言った。「仮に他の理由がなかったとしても、ルーシーのために応じよう」

スワード博士はただ頷いた。教授は立ち上がり、金色の十字架をテーブルの上に置いてから、左右に手を差し出した。私は教授の右手、ゴダルミング卿は教授の左手を取った。ジョナサンは左手で私の右手を取り、モリスさんの方に手を伸ばした。こうして、私たちは手を取り合って、厳粛な誓いを立てたのだ。心が凍りつくような思いがしたが、引き下がろうとは思わなかった。私たちはそれぞれの席に戻り、ヴァン・ヘルシング博士は真剣な仕事が始まったことを示すように、ある種の陽気さを持って話を進めた。この使命は、人生の他の取引と同じように、重々しく、そして業務的に受け止めるべきものだった。

「さて、我々が何と戦わなければならないか分かったろう。しかし我々も無力ではない。我々の側には団結力がある──ヴァンパイアの類にはない力だ。我々には科学による情報源がある。自由に行動し考えることができるし、昼も夜も等しく我々のものである。実際、我々の力が及ぶ限り、我々の力は自由であり、自由に使うことができる。大義に対して献身できるし、利他の目的を達成することができる。これらのことが重要なのだ。

「さて、我々に立ちはだかるヴァンパイアに一般的な力が、どこまで制限されているのか、そして、彼個人はどれだけ無力かを見てみよう。つまり、一般的なヴァンパイアの限界と、特にこのヴァンパイアの限界について考えてみよう。

「我々が拠り所とするのは伝説と迷信だけだ。生と死──いや、生と死以上の問題である以上、これらの拠り所は一見、心もとなく思えるだろう。しかし、これに満足しなければならない。第一の理由は、満足せざるを得ないからだ──他に我々が拠り所とできる手段がないからだ。第二の理由は、結局のところ、これらのもの──伝説と迷信──がすべてと言えるからだ。他者にとって──残念なことに我々には当てはまらないが──ヴァンパイアを信じることは伝統と迷信の上に成り立っているのだ。一年前、科学的で、懐疑的で、真実に重きを置く十九世紀の真っ只中にいた我々のうちの誰が、吸血鬼が存在する可能性を受け入れただろう。我々は、目前で確信された事実をすら、疑ってかかっていたのだから。つまり、ヴァンパイアの存在と、ヴァンパイアの能力の限界と対応策は、今のところ同じ伝説と迷信という土台の上に乗っているのだ。ヴァンパイアは、人間の居住する所ならどこにおいても知られている。古代ギリシアでも、古代ローマでも。ドイツ全土で、フランスで、インドで、ケルソネソスでさえも、彼は繁栄した。中国はあらゆる意味で我々から遠く離れているが、そこにもヴァンパイアは存在し、人々は今もなおヴァンパイアを恐れている。ヴァンパイアは、アイスランドの戦士、悪魔の血を引くフン族、スラブ人、ザクセン人、マジャール人に後続するものなのだ。ここまでで、我々がすべきことはすべてわかった。そして、この伝説と迷信の多くは、我々自身のあまりに不幸な経験を通して見たものによって証明されていることをお伝えしよう。ヴァンパイアは生き続け、単なる時間の経過では死ぬことはない。生者の血で肥えられれば、彼は繁栄できる。さらに、我々の中には、彼が若々しくなることさえあるのを目の当たりにしたものもいる。彼の生命力は、彼の特別な食料が潤沢にあるときに活発になり、まるで自らを蘇らせたかのように見えるのだ。しかし、彼はこの食事なしでは栄えることができず、さらには人のようには食べられない。彼と何週間も一緒に暮らしたジョナサン君でさえ、彼が食べるのを見たことがない。一度もだ! 彼は影を落とさない。再びジョナサンの観察によると、鏡にも映らない。彼は強い力を持っている──オオカミに対して扉を閉めたとき、また不注意から力を出してしまったときに、再びこれもジョナサンが目撃した。船がウィトビーに到着し、彼が犬を噛み裂いたときのことから分かるように、彼はオオカミに変身できる。ミナ奥様がウィトビーの窓で見たように、またジョン君が彼の家の隣家であるこの家から飛ぶのを目撃したように、そしてクインシー君がルーシー嬢の窓で見たように、彼はコウモリになれる。彼は自分が作り出した霧の中から出現できる──あの気高い船長がこのことを証明した。しかし、我々が知るところでは、彼がこの霧を作り出せる距離は彼自身の周りに限られている。彼は月光とともに塵としてやってくる──これもジョナサンが、ドラキュラ城であの姉妹を見たときのように。ヴァンパイアはとても小さくなる──我々は、安らかな眠りにつく前のルーシー嬢が、墓の扉の髪毛ほどの隙間をすり抜けるのを見た。彼は一度道を見つけると、どんなものから出てくることも、どんなものの中に入ることもできる。たとえそれがどんなに緊密に閉められていても、あるいは火で焼き固められていたとしてもだ──これはつまりはんだ付けのことだ。彼は暗闇で目が見える。これは、半日が光から遮断されているこの世界では、瑣末な力ではない。ああ、しかし、最後まで聞きなさい。彼はこれらすべてのことを行うことができるが、自由ではない。いや、ガレー船の奴隷よりも、牢屋の狂人よりも、いっそう囚われていると言えよう。彼は自分の望むところへ行けない。自然のものでないのに、自然の法則のいくつかにまだ従わなければならない──なぜかはわからないが。初めに家の者に招かれない限り、どこにも入れない。しかし、一度招かれた後は思うままに入れる。彼の力は、すべての邪悪なものの力と同様に、夜明けとともに消滅する。特定の時間にのみ、特定の自由を持てるのだ。彼が縛り付けられている土地以外では、正午、および厳密な日の出や日没の時でのみ姿を変えられる。以上のようなことが伝えられている。我々の記録にも、推論による証拠がある。つまり、彼の地上の家や、棺の家や、地獄の家や、あるいは我々が目撃したウィトビーの自殺者の墓のような神聖でない場所などでは、彼は制限内で思うように立ち動ける。それに対して他所では、限られた時に姿を変えられるのみなのだ。また、干潮か満潮の時だけしか流水の上を通過できないとも言われている。そして、彼を苦しめて何の力も発揮できなくするものがある。我々が知っているニンニクのように。また、我々の決意表明に使われた、十字架の象徴のような神聖なものに対して、彼は無力であり、遠く避けた上で敬意をもって沈黙するのみとなる。他にもある。我々の探求に必要であるかもしれないので、お話ししよう。棺の上に野バラの枝を置くと、彼を封じることができる。聖なる弾丸を棺に発射すると、彼は死に、真の死者となる。貫く杭がもたらす安息を、すでに我々は知っている。あるいは首の切断も彼に安息を与えるだろう。これらは我々も目撃したものだ。

「こうして、かつて人であった彼の住処を見つけさえすれば、我々の知識に従い、棺桶に閉じ込めて倒せる。しかし、彼は賢い。ブダペスト大学の友人であるアルミニウス君に、彼の記録をまとめることを依頼した。そしてアルミニウス君は、あらゆる手段を使って彼の過去を私に教えてくれた。彼は、トルコ国境の大河の向こうで、トルコ人に勝利してその名を馳せた、あのヴォイヴォダ・ドラキュラ【訳注:Voivode、軍司令官】に違いない。そうだとすれば、並みの人間ではなかったのだ。当時、及びその後何世紀にもわたり、《森の向こうの国》の息子たちの中で最も賢く、最も狡猾で、最も勇敢な人物として語られてきた人物なのだから。その強力な頭脳と確固たる意思は墓場まで彼と共にあり、今なお我々に敵対している。アルミニウスによれば、ドラキュラ族は偉大で崇高な一族であったが、その子孫たちは悪魔と取引していたと思われていたそうだ。子孫たちは、ヘルマンシュタット湖の向こうの山中にあるショロマンスで悪魔の秘密を学び、悪魔は十人めの生徒を報酬として要求したそうだ。記録には、stregoica──魔女、ordogとpokol──サタンと地獄、といった言葉があった。ある書物では、まさにドラキュラがwampyrとして語られており、この言葉の意味は我々全員が充分に理解しているものと同じだ。この一族が偉大な男や善良な女を生み出したのだ。この穢らわしいものが唯一住める大地は、彼らの墓により神聖な地となっているのだ。このように邪悪なものが善良なものに深く根を下ろしているのは、恐怖に値することだ。神聖な記憶のない土壌では、彼は安住できないのだよ」

彼らが話している間、モリスさんはじっと窓を見ていたが、静かに立ち上がって部屋から出て行った。しばし静寂が訪れ、そののちに教授は言葉を続けた。

「さて、どうするか決めねばならない。我々は多くの情報を持っている。作戦を立てなければならないだろう。ジョナサンの調査により、城からウィトビーまで五十箱の土が運ばれてきて、そのすべてがカーファックスで引き渡されたことがわかっている。また、少なくともその箱のうちのいくつかは持ちだされたことも判明している。我々の取るべき第一歩は、ここから見える塀の向こうの家に、残りの箱すべてが残っているか、あるいは更に持ち出されたかを確認することだろう。もし更に持ち出されたのなら、追跡しなければならない──」

ここで、驚愕すべき方法で私たちの会議は中断された。家の外でピストルの銃声がしたのだ。窓のガラスは弾丸で砕かれ、朝顔口【訳注:壁に朝顔状に開けた窓】の上に跳ね返って部屋の奥の壁に当たった。自分は臆病者だと心から思う、なぜなら悲鳴をあげてしまったからだ。男性方は皆、すぐさま立ち上がった。ゴダルミング卿は窓際に飛んで行って、窓枠を跳ね上げた。その時、モリスさんの声が外から聞こえた。

「すまない! 驚かせたなら悪かった。入ってから説明させてくれ」

一分後、彼は入ってきて言った。

「ハーカー夫人、バカをして本当に申し訳ない。すごく怖がらせちまったね。でも実は、教授が話している間に大きなコウモリがやってきて、窓枠に留まったんだ。最近の出来事から、あの忌まわしい畜生が恐ろしくってね、このところ夕方に奴を見かけては撃っていたのさ。で、今も同じく撃ちに行ったってわけだ。アート、こうするたびにお前によく笑われたよな」

「当たったのかな」とヴァン・ヘルシング博士が聞いた。

「さあ。当たってないと思うね、森に飛んでったから」

彼はそれ以上は何も言わずに席に座り、教授は話を再開した。

「箱のそれぞれを追跡し、準備ができたら、この怪物をその根城で捕えるか殺すかしなければならない。言い換えると、土を浄化して、安息の場所に逃げ込めないようにしなければならない。最終的には、正午から日没の間に人間の姿の彼を見つけ出し、最も弱っているときに交戦することにしよう。

「そして、次はミナ奥様、あなたについてだ。すべてがうまくいくまでは、本件に関わるのは今夜限りとさせてくれないかね。あなたは、我々にとってあまりにも大切な人なので、危険を冒させられない。今夜解散した後は、何も質問しないように。いずれあなたにすべてを話すだろう。我々は男なので耐えられる。しかし、あなたは我々の星であり、我々の希望でなければならないのだ。あなたが我々のような危険にさらされていないことを確信してこそ、自由に行動できるのだ」

この提案に、ジョナサンも含めて全員が安心したようだった。危険に立ち向かいながらも、私を慮るあまり、万一の身の安全を損なうことになるのは──協力し強くあることこそが一番の安全だから──良いこととは思えなかった。しかし彼らの心は決まっていたので、私にとっては呑み込み難かったが、彼らの騎士道精神を受け入れる以外何も言えなかった。

モリスさんが議論を再開した。

「一刻の猶予もないんだ、今すぐ奴の家を見に行こう。一刻を争う相手だ。俺たちの迅速な行動で、新たな犠牲者を救えるかもしれない」

行動の時がこんなにも早いことに、胸が張り裂けそうになったのは事実だが、何も言わなかった。彼らの仕事の足を引っ張ったり、邪魔になったりして、話し合いから完全に外されることを恐れたからだ。彼らは今、家に入る手段を備えてのち、カーファックスの家に向かっている。

彼らは男らしく、ベッドで眠っていなさいと言っていた。まるで、愛する者が危険にさらされているときに、女が眠れるかのように!

横になって寝たふりをし、ジョナサンが戻ってきたときに、私のことで更なる心配をかけないようにする。

スワード博士の日記

十月一日 午前四時

ちょうど僕たちが家を出ようとしたとき、レンフィールドから緊急の連絡があった。僕に極めて重要な話があるので、すぐに会いたいとのことだった。伝言を持ってきた世話人に、明朝ならば希望に添えるが、ちょうど今は忙しいと言った。すると、世話人はこう言葉を付け加えた。

「先生、ひどく切望しているようなんです。あんなに熱心なのは見たことがありません。もしかしたらですが、すぐに会わなければ、また激しい発作を起こすかもしれません」

何の理由もなくそのようなことを言わない男だと知っていたので、「わかった、行く」と伝えた。そして他の人たちには、《患者》に会いに行くから数分待ってくれるよう頼んだ。

「ジョン君、私も連れていってくれ」と教授は言った。「君の日記にある症例はとても興味深いし、我々の事件にも時折関係していた。特に彼の精神が乱れているときに会ってみたいね」

「私も同行していいだろうか」とゴダルミング卿が尋ねた。

「俺もいいかい」とクインシー・モリスが言った。

「僕も行っていいでしょうか」とハーカーが言った。

僕はうなずき、皆で一緒に階下への通路を進んだ。

僕たちと会った時、彼はかなり興奮していたが、話し方も態度も、これまで見たことがないほど理性的だった。今まで僕が会ってきた狂人にはない、自身に対する並外れた理解があった。そして彼は、自分の理屈が他の全く正気な人々に通用することを当然だと考えていた。僕たちは四人とも部屋に入ったが、他の誰も最初は何も言わなかった。彼の要求は、すぐにでも病院から解放して家に帰してほしいというものだった。その裏づけとして、完全に回復したことを主張し、自分の正気を訴えてきた。

「あなたのご友人に訴えましょう」彼は言った。「私の病状を診断することをいとわないでくださるかもしれません。ところで、まだ私をご友人方に紹介してくださっていませんね」

あまりの驚愕で、精神病院の狂人を紹介することの奇妙さにその場では気づかなかった。加えてレンフィールドの態度にはある種の威厳があり、対等な振る舞いをしていたので、すぐに紹介した。

「ゴダルミング卿、ヴァン・ヘルシング教授、テキサス州のクインシー・モリス氏です。こちらは、レンフィールド氏」

レンフィールドは各人と握手をして、順番にこう言った。

「ゴダルミング卿、私はウィンダムであなたのお父様のお手伝いをする光栄に浴しました。あなたがその称号をお持ちということから、お父様がもうお亡くなりになったことを知り、残念に思っています。お父様はすべての知人に愛され、尊敬された人物でした。若いころには、ダービーの夜によく飲まれていた、ラム酒を燃やしたパンチ酒を発明したと聞いています。モリス氏、あなたはご自身の偉大な州を誇りに思うべきです。合衆国へ加盟されたことは、将来において極地と熱帯が星条旗に忠誠を誓うような、広範囲に影響を及ぼす可能性のある先例となりました。モンロー主義が政治的寓話としての本来の地位を占めるようになったときに、加盟条約の力が、巨大な発展の原動力となる可能性があるのです。ヴァン・ヘルシングにお会いする喜びをどう表せばいいのでしょうか。先生、私は慣習的な敬称を取りやめたことについて、何の謝罪もしませんよ。脳細胞の連続的な進化を発見し、治療学に革新をもたらした人物に対して、従来の医学的敬称は、その人物をある種の階級に限定してしまうようで、そぐいませんから。国籍、遺伝、あるいは天賦の才能によって、この躍動する世界でそれぞれの地位を占めるにふさわしい紳士諸君よ。少なくとも、自由を完全に所有している大多数の人々と同じくらい私が正気だという証人になっていただきたい。科学者であると同時に人道主義者であり、医学者であるスワード博士が、私を例外的な状況下にあるものとして取り扱うことを、道徳的義務とみなしていただけることを、確信しています」

彼は、この最後の訴えを、上品な確信をもってして、さらには魅力的に表現した。

僕たちは皆、驚かされた。僕自身、この人物の性格や経歴を知っているにもかかわらず、理性が回復したことを確信していた。そして、正気であると納得したので、退院のために必要な手続きを明朝にする旨を伝えたい強い衝動に駆られた。しかし、このような重大な発言をするのは待った方がいいと思った。この患者が概して急変しやすいことを知っていたからだ。そこで、非常に急速に回復しているようだから、明朝にゆっくり話をして、希望に沿うような方向で何ができるか考えてみよう、と大まかなことを述べるに済ませた。しかし、彼は全く納得せず、すぐにこう言った。

「スワード博士、私の願いをほとんど理解されていないようです。できることならすぐにでも、今ここで、今この時、今この瞬間に出たいのです。時間が迫っています。あの年老いた鎌使い【訳注:死神】との暗黙の了解の中で、時間は契約の本質をなすものです。スワード博士のような立派な医師であれば、これほど単純でありながら重大な希望を申し上げさえすれば、その実現を確実にしてくださるでしょう」

彼は僕をじっと見て、僕の表情に消極性を見てとったのか、他の人に目を向け、彼らをよく観察した。彼はその結果に納得できず、さらに続けた。

「私の推測が間違っているとでも?」

僕は率直に、しかし同時に残酷にもこう言った。

「そうです」

かなりの間があり、それから彼はゆっくりと言った。

「それなら、要求の根拠を変えなければなりませんね。譲歩をお願いしたいのです──恩赦でも特権でも、何と呼んでいただいても結構です。個人的な理由ではなく、他の人々のためですので、このようにお願いできます。理由をすべてお話しすることはできませんが、健全で無私の理由であり、最大限の義務感からくる善なる理由だと保証します。私の心の中を見ていただければ、私を動かしている動機を全面的に認めていただけるでしょう。いや、それどころか、私を最高の友人として認めるはずです」

彼は再び全員を鋭く見据えた。僕は、この突如として起こった彼の知的手段の変化は、狂気の一形態あるいは一段階に過ぎないという確信を深めた。そして、経験上、彼が他の狂人と同様に、最後には正体を表すことを経験から知っていたので、話をもう少し続けさせようと決心した。ヴァン・ヘルシングは彼を凝視しており、その豊かな眉毛は、視線の焦点を合わせるために、眉間でほとんど接触しそうであった。彼はレンフィールドに、その時は驚かなかったが、後で考えてみると驚くような、まるで対等に話しかけるような口調でこう言った。

「なぜ今晩に自由になりたいのか、その本当の理由を率直に話してくれないかね。もし、偏見を持たず、視野を広く持った、見ず知らずの私でさえ納得させられるなら──スワード博士が彼自身の責任で、君の求める特権を与えることを、私から約束しよう」

レンフィールドは悲しげに首を振り、痛烈な後悔の表情を浮かべた。教授が続けた。

「よく考えてみたまえ。完全に理性的だと印象付けようとしているということは、最高の理性の持つ特権を主張したいのだろう。君は理性を主張しているが、病気の治療からまだ解放されていないのだから、我々には正気を疑う理由がある。もし君が、最も賢明な道を選択せんとする我々の努力を助けてくれないのなら、君が我々に課した責務をどうやって果たせばいいというのだね。賢明になって、我々を助けてくれ。そうすれば、望みを叶えるために協力しよう」

それでもレンフィールドは、首を振りながら言った。

「ヴァン・ヘルシング博士、何も申し上げることはありません。あなたの主張は完璧ですから、もし自由に話せたなら、一瞬たりとも打ち明けるのにためらわなかったでしょう。しかし、この問題に関して私は自身の支配者ではないので、信頼してくださいと頼むしかないのです。もし断られたとしても、その責任は私にはないのです」

僕は、あまりにも滑稽に重苦しくなってきたこの状況をそろそろ終わりにしようと思い、扉の方へ行き、簡単にこう言った。

「さあ、友よ、仕事があるのだから行こう。おやすみ」

しかし僕が扉に近づいたとき、患者に新たな変化が訪れた。とても素早く近づいてきたので、一瞬、彼がまた殺傷を試みるのではないかと心配になった。しかし、僕の心配は杞憂に終わった。彼は両手を挙げて懇願し、感動的な態度で陳情した。患者は、感情をあらわにすることが自身にとって不利にはたらき、僕との関係が以前同様に戻ってしまうことを知ると、さらに強く主張した。僕はヴァン・ヘルシングをちらっと見て、彼の目に僕と同じ確信が映ったため、より厳しいとは言えないまでも、もう少し態度を頑なにして、努力は無駄だと伝えた。以前、彼が猫を飼いたがっていた時など、その時に彼が真剣に捉えていた要求をしなければならない時に、同じように絶え間なく興奮が高まっていくのを見たことがあった。そして今回も、同じように不機嫌な納得へと落ち着くのを予期していた。しかし、僕の期待は裏切られ、彼は自分の訴えが通らないことを知ると、完全に狂乱状態に陥った。彼は、膝をついて両手を挙げ、必死に手を振り絞って懇願し、涙を流しながら、顔や姿に深い情感を表して、絶え間なく哀願した。

「スワード博士、お願いです、どうか私をこの家からすぐに出してください。あなたが好きなように、好きなところへ私を追い出してください。鞭や鎖を持った番人を付けてくださっても結構ですし、拘束衣を着せて手枷足枷をし、監獄に連れ込んでも結構ですが、ここから出してください。私をここに閉じ込めておくことが何を意味するのか、あなたにはわからないのです。私は奥底から、まさに魂の底から話しているのです。あなたが誰をどのように誤解しているのか、あなたは知りませんし、私も言えません。なんということでしょう! 私は話すことができません。あなたが神聖視するものすべてのために──あなたが大切にするものすべてのために──失われたあなたの愛のために──今も生きるあなたの希望のために──全能の神のために、私をここから救い出し、私の魂を罪から救ってください。私の声が聞こえないのでしょうか。理解できないのでしょうか。理解する気がないのでしょうか。私は正気で、真剣なんです。狂気に陥った狂人ではなく、自らの魂のために戦う正気の人間だとわかりませんか。聞いてください! 聞いてくれ! 出してくれ! 出してくれ! 出してくれ!」

この状態が長く続けば続くほど、荒れ狂い、発作を起こすだろうと思ったため、手を取って立ち上がらせた。

「よしなさい」と僕は厳しく言った。「さあ、もうたくさんです。ベッドに入り、もっと静かに振る舞うように」

彼は突然言葉を止め、しばらく僕の顔をじっと見ていた。そして、何も言わずに立ち上がり、ベッドの片側に腰を下ろした。以前と同じように、予期したとおりに落ち着いたのだ。僕がしんがりとして部屋を出ようとすると、彼は静かな、よく響く声でこう言った。

「スワード博士、あなたを納得させるために今夜の私ができる限りのことをしたことを、後々まで心に留めておいてくださると信じています」 

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