10月6日

ジョナサン・ハーカーの日記

十月六日、朝

またしても驚き。昨日と同じ時間にミナに起こされ、ヴァン・ヘルシング博士を連れてくるよう言われた。また催眠術をかけるのかと思い、何の疑いもなく教授のところへ行った。彼は明らかにそのような呼び出しを予期していたようで、彼の部屋で服を着ていた。彼の部屋の扉は開いており、僕たちの部屋の扉が開くのが聞こえるようになっていた。彼はすぐにやってきて、部屋に入りながら、他の人も呼ぶかいとミナに尋ねた。

「いいえ」彼女はただそう答えた。「その必要はありません。他の方にはあなたからお伝えくださって構いません。私は皆さんと一緒に旅に出なければならないのです」

ヴァン・ヘルシング博士は、僕と同じように驚いていた。しばらく間を置いて、彼はこう尋ねた。

「でも、どうして」

「私を連れて行くべきです。私は皆さんと一緒の方が安全ですし、皆さんも私と一緒の方が安全です」

「しかし、親愛なるミナ奥様、どうしてだね。あなたの安全確保が、我々の最重要任務だとご存じのはずだ。我々は危険に立ち向かうのだ。あなたは他の誰よりも──状況や過去の出来事から考えるに──危険にさらされる可能性がある」

彼は気まずそうに言葉を止めた。彼女は返事をするときに、指で自らの額を指し示した。

「わかっています。だからこそ行かなければならないのです。今、太陽が昇っている間であれば理由をお話しできますが、もう二度とお話しできないかもしれません。伯爵が望めば、私はその元に馳せなければならないのです。もし伯爵が密かに来いと指示すれば、私は狡猾に、どんな手を使ってでも──ジョナサンさえも騙して行かねばならないのです」

そのとき、彼女が僕に向けた眼差しを神はご覧になったろう。本当に記録天使【訳注:善行や悪行を記録する天使。Recording angel】がいるならば、その眼差しは彼女の永遠の名誉として記されているだろう。ただ、彼女の手を握りしめることしかできなかった。涙を流すこともできないほど、感情が高ぶっていたのだ。彼女は続けた。

「皆さんは勇敢で強いです。一人きりで守備をしている人間であれば忍耐力が打ち砕かれてしまうようなことにも、皆さんは立ち向かえるのですから、人数が多いからこそ強いのでしょう。私もお役に立てるかもしれません。私に催眠術をかけると、私自身さえ知らない知識を得られるのですから」

ヴァン・ヘルシング博士は非常に重々しくこう言った。

「ミナ奥様、あなたはいつもながら、とても賢明だ。我々と一緒に来て、我々が成し遂げんとすることを共に成し遂げよう」

彼の言葉が話されたときにミナが長く沈黙したため、ミナの様子を伺った。彼女は枕に倒れ込み眠っていた。僕がブラインドを引き上げて、陽光が部屋に溢れたときですら、彼女は目を覚まそうとしなかった。ヴァン・ヘルシングは僕に静かに来るようにと言った。僕たち二人は彼の部屋に行き、一分もしないうちにゴダルミング卿、スワード博士、モリス氏も合流した。彼はミナの発言を彼らに伝え、さらに続けた。

「今日の朝、ヴァルナに向けて出発する。今の我々は、新しい問題に対処しなければならない。ミナ奥様だ。彼女の魂は本物だ。あのように我々に多くを語るのは、彼女にとって苦痛であったはずだ。彼女の言葉は正しく、我々は間一髪で警告を受けたのだ。この機会は絶対に失ってはならない。ヴァルナでは、あの船が到着して即座に行動できるようにしておかなければならないのだ」

「どうすればいい」モリス氏が簡潔に聞いた。教授は答える前に一呼吸置いた。

「まず、その船に乗り込む。箱を確認したら、その上に野バラの枝を置く。これを固定すれば、誰も出られない。少なくとも迷信ではそう言われている。我々は迷信をまず信頼しなければならない。迷信は、昔の人間の信仰であり、今もなお信仰にその基礎がある。そして、我々が求める機会を得たとき、つまり誰も近くにいないときに、箱を開けるのだ。そして──そして、すべてはうまくいくだろう」

「俺は機を窺わないね」とモリスは言った。「箱を見たら、開けて怪物を破滅させる。たとえ千人の男が見ていようと、次の瞬間にそのために抹殺されようと!」

僕は本能的にモリスの手を握り、その手が鋼鉄のように堅固だと知った。モリスは僕の表情を理解したと思うし、そうであってほしいとも思う。

「立派だ」とヴァン・ヘルシング博士が言った。「勇敢な男だな。クインシーは真の男だ。神よ、彼を祝福したまえ。我が子よ、我々の誰も遅れをとったり、恐怖から立ち止まったりすることはないと信じてくれ。私はただ、我々が何をすべきか──何をしなければならないかを言ったのだ。しかし、本当の本当に何をすべきかは指示できない。起こりうることはあまりにも多く、その起こり方も結果もさまざまで、その瞬間まで我々は何とも言えないのだ。我々は皆、あらゆる方法で武装している。そして終局の時が来たとき、我々は必死で努力するだろう。さあ、今日はすべての身辺整理をしよう。我々にとって大切な人たち、我々に頼っている人たちに関わることは、すべて済ませてしまおう。なぜなら、我々の誰も、何が、いつ、どのように終わるのか、わからないからだ。私は身辺整理を済ませてあり、他にすることもないので、旅行の手配をすることにする。旅の切符などはすべて私が用意する」

それ以上話すこともなく、僕たちは解散した。今は、この地上での生活のすべてを整理し、何が起こっても大丈夫なように準備しなければならない。

その後。

すべて完了した。僕の遺言が完成したのだ。ミナが生存していれば、僕の唯一の相続人となる。そうでない場合は、これまで僕たちが世話になった他の方々に遺贈することとなる。

今、日が暮れようとしている。ミナが不安な様子なので、僕も日没が気がかりになっている。ミナもきっと何か思うところがあるのだろうが、それは日没の時刻になればわかることだ。日の出と日没のたびに、新しい危険──新しい苦痛が生じるため、僕たち全員にとってつらい時間となりつつある。これらの痛みは、神のご意志により良い結果に繋がるかもしれないが。このようなことを日記に書くのは、今は愛しい人の耳に入れられないからだ。もし彼女が再び日記を読めるようになった時のために用意しておく。

彼女が呼んでいる。

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